小さな不思議のお話
4. 昭島由梨奈

私の大好きな睡眠を悪気もなく義務のように邪魔するものがいる。


「おーい!ゆりなああっ!!」


隣の家にいる幼なじみの、紺野航輝
14歳で中2の同い年。

「幼なじみ」という言葉はラブコメ漫画とかだと運動神経抜群のイケメン幼なじみと恋するっていうお約束があるでしょ?

...残念。私達にそんな展開はないんだ。
顔は...まぁ悪くはないかな?レベルの運動音痴で勉強苦手の航輝は
毎日6:20になると、頼んでもないのに私を起こしに来る。ご自慢の大声でね。

これでも思春期の女子なんですけど!

って毎日思うけど、航輝はきっと私のことを異性として考えているわけではないと思う。

なんか私のことを異性として見られていたとしたら、そのほうが嫌。
だって航輝は家族みたいなもんだもん。
家族で恋愛なんて...ちょっと気持ち悪い


「ゆりな、起きてんだろ?今起きなかったら....どうなるか....わかってんだろ...?」


....えぇっ?!ちょ、ちょ?!朝から変なことゆーなよバカッ!!

もちろん航輝が恋愛的な意味で言ったわけもなく、先程放った航輝の言葉の30秒後
私の全身にくすぐり攻撃をされたわけだが。

「よーし、起きたな由梨奈!制服早く着ろよ!」

「わかってるし!ていうか女子が着替えするんだから出てってよね!この変態!」

「はぁ?起こしてやった奴にそれはないだろ」

「なに、あんたそんなに私の着替えみたいの?キモチワルイ」

「お前の着替えなんて見てもちっとも嬉しくねーよ。つべこべ言わずに早く着替えろ!遅刻するぞ?」

「もっー!うっさい!後ろ向くくらいしろっての!」


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