小さな不思議のお話
8. 三条御琴②

全身で、「私、今びっくりしてます!」表現をする人が私の目の前に現れた。


「貴方は....えっと...」
見たことはあるが、名前が浮かばない相手だった。

「わ、私はハルです!が、学級委員の....
じゃ、じゃなくて!さっきから三条さん、何故変態のような笑みを浮かべているのですか?!」

「え、えぇっ...?!お、落ち着いて....?」

ツインテールの似合う可愛い子なのに怒鳴るように怒る今の彼女はたいそう不細工であった。
彼女は、肘を曲げて手をグーの形にして腕をブンブンと振りながら続けた。

「私はあなたを目標に頑張ってきたんです!学年一位さん!!でも、名前も覚えられてなかったなんて....」

疲れきった様子の「ハル」は、「取り乱してすみませんでした、」と誤ると静かに自分の席についた。


後で確認したところ、成績順位表では、彼女、飯田ハルは学年で二位、つまり私の一つ後ろの順位で貼りだされていた。


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