【続】キミとひとつになれたら
台所で紅茶の準備をする彼を横目に部屋の隅に投げられたナイフを手に取った。
「……」
ナイフを握りしめて、ゆっくりゆっくり台所へ。
彼を止める方法は1つしかない。
気付かれないように、慎重に四ノ宮くんの背後に立った。
「四ノ宮くん」
ナイフを後ろに隠して、いきなり背後から声をかけたにも関わらず、特に驚きもせず「どうしたの?」と優しく笑った。
「……ありがとう」
「え」
「本当に、ありがとう。愛してくれた事は、嬉しかった」
「……」
ナイフが握られていない左手を四ノ宮くんの頬に添えて、真っ直ぐに彼の目を見た。