【続】キミとひとつになれたら
引っかかる点はいくつもあったけど、なんとなく言う気になれなかった。
言っちゃいけない気がした。
「あ、朝ご飯の前にシャワー浴びてくる?着替え、貸すよ」
「ありがとう……。そうするね」
少し汗で体がベタついてたので、先にシャワーを浴びた。
シャワーを浴びながら思った。
昨日のアレは夢だったんだ、と。
普通に考えておかしいもん。
翔くんが私を殴るなんて。
ましてや、包丁で切るなんて。
「あれは夢……絶対に夢。ただの、悪夢……」
お風呂場から出て、体を拭きながら、自身を洗脳するかのように「ただの悪夢」と繰り返した。