ご懐妊は突然に【番外編】
「今日燁子さんに会ったわ」
匠さんは夕飯を食べる手をピクリと止めた。
本日のメニューはカツレツとポテトサラダ、レンコンのきんぴらだ。
「どうして居場所が解ったんだ?!」
匠さんは目を大きく見開いて尋ねる。
ないしょー、と言って私はポテトサラダを摘まむ。
「おい、ふざけてる場合かよ!」
匠さんはムッとして口調がキツくなる。
渡しは人差し指を立てて横に振った
「私の情報網を侮らないでね」
「言わないつもりか」
無視して炊きたてのご飯をバクリと頬張る。
「で、何処にいるんだ?」
犯人に自白を迫る刑事の如く匠さんは鋭い視線を向けて来た。
葛城商事の社員ならビビるトコだが、退職した私には生憎効果がない。
「それもないしょー。言ったら今すぐ迎えに行っちゃうでしょ?」
「当然だろ?!」匠さんは眉を吊り上げる。
私は箸置きに揃えてお箸を置くと正面から匠さんを真っ直ぐに見据える。
「燁子さんは今自立しようとすっごく努力してる。だから邪魔しちゃだめ」
「妹が不憫な思いをしてるのを黙ってみてろって事いうのか?!」
匠さんは睨み返して来たが、「燁子さんは不憫な思いなんかしてなかった」と私はキッパリ言い放つ。
「葛城の力に頼らずに自分の力で生きてこうとしてたわ。働いて自分で稼いで、お米だって炊けるようになったのよ?」
燁子が…と言って匠さんは絶句した。
米を炊けるようになっただけでこのリアクション…どんだけハードルが低いんだ。
しかしながら、それ位燁子さんは大事に育てられてきた。
匠さんは夕飯を食べる手をピクリと止めた。
本日のメニューはカツレツとポテトサラダ、レンコンのきんぴらだ。
「どうして居場所が解ったんだ?!」
匠さんは目を大きく見開いて尋ねる。
ないしょー、と言って私はポテトサラダを摘まむ。
「おい、ふざけてる場合かよ!」
匠さんはムッとして口調がキツくなる。
渡しは人差し指を立てて横に振った
「私の情報網を侮らないでね」
「言わないつもりか」
無視して炊きたてのご飯をバクリと頬張る。
「で、何処にいるんだ?」
犯人に自白を迫る刑事の如く匠さんは鋭い視線を向けて来た。
葛城商事の社員ならビビるトコだが、退職した私には生憎効果がない。
「それもないしょー。言ったら今すぐ迎えに行っちゃうでしょ?」
「当然だろ?!」匠さんは眉を吊り上げる。
私は箸置きに揃えてお箸を置くと正面から匠さんを真っ直ぐに見据える。
「燁子さんは今自立しようとすっごく努力してる。だから邪魔しちゃだめ」
「妹が不憫な思いをしてるのを黙ってみてろって事いうのか?!」
匠さんは睨み返して来たが、「燁子さんは不憫な思いなんかしてなかった」と私はキッパリ言い放つ。
「葛城の力に頼らずに自分の力で生きてこうとしてたわ。働いて自分で稼いで、お米だって炊けるようになったのよ?」
燁子が…と言って匠さんは絶句した。
米を炊けるようになっただけでこのリアクション…どんだけハードルが低いんだ。
しかしながら、それ位燁子さんは大事に育てられてきた。