暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「僕も会長や社長のお人柄に惹かれてこれまでやってこれたのもあります。」


「大変でしょ?特に伯父は。」


昔から伯父は思い付きで行動する事がある。


それで時々、突拍子もない事を言ったりする。


伯父なりに考えてはいるんだろうけど……


今回の事もそうだ。


子供のいない伯父は昔から私をまるで我が子の様に大切にしてくれる。


それ故に時々、私の事で暴走する事も……。


だからこんな事になっているのだと思う。


流石に仕事ではそうも暴走は出来ないだろうけど少なくとも秘書である樋山さんは苦労しているはずだ。


今日がまさにそうだ。


「いえ、社長には本当に心から感謝しております。未熟な私に一から仕事を教えてくださいましたから。ただーーー」


「ただ?」


「ダジャレのセンスに少し問題がありますね。」


とても真顔で話す樋山さん。


















「クックックックッ……アッハッハッハ。確かに伯父のダジャレセンスは酷い。」


「はい、全くです。この前、ダジャレを言うのはダレじゃ?と社長に言われた時には思わず聞こえないフリをしようかと思いましたから。」








不思議だな。


樋山さんとこんなにも楽しく話しているなんて。


数時間前までは想像もしなかったよ。


やっぱり人は見た目だけで判断しちゃいけないよね。


その後も樋山さんのどこまでも真面目に話す社長である伯父の話が面白くて、思えば久しぶりに笑った気がした。
















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