暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「私……彼の事、好きだと思います。突然、いなくなったし連絡も取っていないけれどーーー気持ちはまだ彼に……だからこんな状態で樋山さんの事とか………ごめんなさい。」


思ってるままを伝えるのが良いと思った。


正直、この恋の行方なんて分からない。


それでも樋山さんに対して自分の気持ちを偽ることは出来なかった。


それが誠意だと思った。


「そうですか……。」


車のハンドルにもたれ掛かりながら樋山さんが呟くように言った。


「伯父には私から上手く言いますから……それじゃ……」


もうこれ以上、話すこともないし車から降りようとしたらーーー











「僕は今からとてもフェアじゃない事を言います。」


「えっ?」


「この事を伝える事であなたが傷付くのは分かっているし僕としてもそれは辛い。それでも往生際の悪い僕はあなたが振り向いてくれるなら……微かな願いを込めて言います。」











ーーーー加藤はあなたが会長のお孫さんであると知ってた上で近付いたかと思います。









「ちゃんと……説明していただけますか。」


息が止まってしまいそうなくらい胸が苦しかったけど、やっとの事で言った。









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