暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「俺、実は父親とは昔から仲が悪くて、それでも言われるまま親の会社に入ったものの辞めたくて仕方なかったんだ。自由に、なりたかった。」
何となく前の様子であまりお父さんと仲が良くないのは想像できたけど………
「ある時、父親に会社を継く気がないって言ったんだ。自由にさせて欲しいって、ダメ元でね。」
「それで?」
「それで父親の出した条件がM&Aを予定している会社にどうやら会長の孫娘がいるらしいから上手く取り込んで、こっちが有利になるような情報を持ってこいって……。そしたら、後は自由にさせてやるって。」
「酷い話ね。それで私に……近付いた?」
「うん……孫娘が沙紀さんだって情報を掴んで、それで近付いた。」
私の問い掛けに応える陽日。
私の方が泣いたっていい話なのに、目の前の陽日の方が今にも泣きそうな顔だ。
「ごめん……」
苦しそうな顔で陽日が言う。
「実はある程度、話は聞いたんだ。うちの伯父の秘書やってる樋山さんに。」
「えっ……社長秘書の?じゃあ前からこの事、知ってたの?」
「ううん、偶然にも昨日聞いたばかり。だから今日はショックでズル休みしちゃった。」
少しでも陽日が苦しまないようにとわざと明るく言ってみる。
大丈夫、私はもう散々、泣いたもの。
「俺、沙紀さんの事、傷つけたね……。」
何となく前の様子であまりお父さんと仲が良くないのは想像できたけど………
「ある時、父親に会社を継く気がないって言ったんだ。自由にさせて欲しいって、ダメ元でね。」
「それで?」
「それで父親の出した条件がM&Aを予定している会社にどうやら会長の孫娘がいるらしいから上手く取り込んで、こっちが有利になるような情報を持ってこいって……。そしたら、後は自由にさせてやるって。」
「酷い話ね。それで私に……近付いた?」
「うん……孫娘が沙紀さんだって情報を掴んで、それで近付いた。」
私の問い掛けに応える陽日。
私の方が泣いたっていい話なのに、目の前の陽日の方が今にも泣きそうな顔だ。
「ごめん……」
苦しそうな顔で陽日が言う。
「実はある程度、話は聞いたんだ。うちの伯父の秘書やってる樋山さんに。」
「えっ……社長秘書の?じゃあ前からこの事、知ってたの?」
「ううん、偶然にも昨日聞いたばかり。だから今日はショックでズル休みしちゃった。」
少しでも陽日が苦しまないようにとわざと明るく言ってみる。
大丈夫、私はもう散々、泣いたもの。
「俺、沙紀さんの事、傷つけたね……。」