暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「漢字とか昔から割りと得意だし……まぁ、あんたの書き方も中々良かったわよ。」


素直に喜ぶのもなんだから、照れ隠しに言ってみる。


「そう?どうしても沙紀さんに当てて欲しかったから一生懸命書いちゃった。それでだけど最初から書いた文字言える?」


「えっ、まだクイズ終わりじゃないの?えっと……最初の文字があれだ。木でしょ?」


目の前で陽日がニヤニヤしてる。


もしかしてアラサーの記憶力試してる?


いっちゃあ悪いけどこれくらいはまだ大丈夫なんだから。


「次に書いたのが……魚偏の鮨だ。それで最後が太陽。」


「続けて言ってみて。」


「木、鮨、太陽……?」


「しょうがないなぁ、沙紀さんからおねだりなんて。」


そう言いながら私の顎をクイッと持ち上げると唇を軽く重ねる。


チュッ


っ////////











「ちょ、ちょっといきなり何なの?こんな公衆の面前で。」


一瞬だとは言え、周りに人もいるんだし恥ずかしいじゃん。


「だって沙紀さん、おねだりするんだもん。その思いに応えただけだよ。」


「はあ?いつ、私がおねだりなんかしたっていうのよ。訳の分かんないこと言わないでよ。」


んもぉ、勝手なこと言って。


「言ったじゃん今。キスしたいようって。」








「へっ……?」


「だから………き、すし、たいようって。」


















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