暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「もぉ〜、騙したわねぇ。あんたはほんっと質が悪いっ。前にしたポーカーの時だってそうだしっ。」


「騙したって人聞き悪いなぁ。だってこうでもしないと沙紀さんからキスのおねだりなんて絶対にないもん。行こう。」


悪びれることも無く子供みたいに笑うと、ベンチから立ち上がって私をグイッと引き寄せる。


「うわっ」


そのまま抱きしめられて


ーーーもっと深いのが良かった?


なんて調子に乗った事言ってくる。


自分でも顔が赤くなるのが分かったから照れ隠しにそのまま突き飛ばしてやった。


先に歩きだした私の隣に陽日は直ぐ追いつくと


「逃げても駄目だよ。もう離さないって決めたんだから。」


そう言ってまた私の手を取り指を絡ませ自分のコートのポッケに入れた。


もぉ……なんなのよぉ。


ドキドキされっぱなしだよ。






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