暫定彼氏〜本気にさせないで〜
それは俺が高校を卒業するまで記録されていた。


そして最後のページを捲った時、何かがはらりと落ちた。


手に取り見てみるとーーー


俺と両親が仲良さげに三人で写っている写真だった。


不意に目頭が熱くなる気がした。


「父さん……」


あの人なりに必死だったのかもしれない。


家族を守ることに。


けれどどこかでそれがズレてきて……


母さんは違う道を選択したのだろう。


きっとーーー


それらの思いを振り払うかのように、ひたすら仕事に打ち込んで孤独に生きてきたんだろうな。


俺が感じていた孤独よりももっと深いものをあの人はーーー


ずっと一人で耐えていたんだろうな。






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