暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「もちろん、あくまで暫定なので仮にですけど沙紀さんに本気で好きな人が出来たら俺、諦めますから。」


「他に好きな人が出来たら?」


「まっ、そんな日は来ることありませんけどね。」


な、なんだろ、この自信は。


ちょっと段々本性を表してない?


まぁ、確かにこの顔だったら仕方ないか。


て言うか、何かムカついてきた。


世の中の女子はみんな自分の事を好きになるみたいな。


自惚れんじゃないわよ。


そりゃ、確かにこの顔で攻められると……


いや、私は大丈夫。


アラサー舐めんなよ。


こっちはちょっとやそっとの事で流されたりしないんだから。


長く生きてる分、色んな恋だってしてるのよ。


そう、二度と人を好きになんてならないって思うような恋も…………。


「良いわよ。私があんたに本気になったら暫定は取り消して上げる。その代わり私に好きな人が出来た場合は二度と私に関わらないで。」


言ってやった。


「望むところです。先ずはそれ止めません?」


「それ?」


「あんたじゃなくて陽日って呼んでください、沙紀さん。」


名前?


この歳にもなるとそういうやり取りが一番面倒なのよ。


て言うか、ずっと気にはなってたけど、いつの間にか沙紀さんって。


まあ、良いわ。


名前くらいで恥じらう歳じゃないっうーの。


「はるひーーーって呼べば良いのね?」












ちょっとっ!
な、なに顔赤らめてんのよ。


調子狂うじゃん。
















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