暫定彼氏〜本気にさせないで〜
***


あの非常階段での告白から気がつけば半年以上が経っていた。


明日からは4月。


新しい年度が始まる。


新入社員も入って来ることだし、気を引き締めなきゃだな。


そうだ、那由ちゃんもいよいよ社員としてうちで働くんだよね。


お兄さんである樋山さん同様、那由ちゃんもあっという間に仕事を覚えそうだな。


そうだ、今度二人で那由ちゃんの入社祝いしようかな。


あの二人には内緒で。












その後も陽日とは連絡を取っていない。


色々と事情を知る志賀は意地を張るなって言うけれど、そう言うのとは違うんだ。


自分でも上手く説明できないけど、今のこの時期ってきっと、これから先に私達が一緒に過ごす上で必要な時期なんだって思う。


きっかけはあんな出会いだったけど、かけがえのない存在なんだって事を改めて知る時期。


とは言え………


やっぱり寂しいよ……。


陽日に会いたい……


陽日の声が聞きたい……


陽日に






触れて貰いたい……





< 215 / 229 >

この作品をシェア

pagetop