暫定彼氏〜本気にさせないで〜
年度が変わろうが引き続き、社内では省エネモードで今日も私は非常階段を使いワンフロア上の階へと向かう。
この階段を使うと陽日を思い出して時々切なくなるけれど………
そんな思いを断ち切るように近頃の私は一段飛ばしで階段を一気に駆け上がる。
もちろん、誰もいない時だけね。
今日も勢い良く駆け上がり、階段を登りきった。
息を整えドアを開けようとしたらスッと開いたので、ありがとうございますと頭を下げながら通り過ぎようとしたらーーー
ぐっと腕を引っ張られまた非常階段の踊り場へと引き戻された。
「ひゃっ」
ビックリして思わず声が出てしまう。
ゆっくりと顔を上げてみるとーーー
「ねぇ、告白しても良い?」
変わらない、ううん、何だか印象が少し逞しくなった陽日が私だけに見せるあの意地悪な笑顔で立っていた。
「はる、ひ……?」
なんでここにいるの?とか
どうしたの?とか
仕事は?とか……
色んな疑問が頭の中に浮かぶのに、どれ一つ声になって出てこない。
その間も目の前の陽日は笑顔のままだ。
「ねぇ、聞いてる?告白したいんだけど?」
「えっ、今?」
「今が良いです。」
あの時と同じ言葉を陽日が言う。
「あっ、じゃあ、どうぞ。」
びっくりやら恥ずかしいやらで言い方が素っ気なくなってしまう。
「なに、それ。まっ、良いけどね。」
少し呆れた顔をするものの目の前に立つ陽日は私の目を見ると
「好きです。俺は戸田原沙紀さんの事がめちゃくちゃ好きで仕方ありません。俺と付き合ってください。俺を暫定じゃなくて確定彼氏にしてください。」
とはにかみながら言った。
この階段を使うと陽日を思い出して時々切なくなるけれど………
そんな思いを断ち切るように近頃の私は一段飛ばしで階段を一気に駆け上がる。
もちろん、誰もいない時だけね。
今日も勢い良く駆け上がり、階段を登りきった。
息を整えドアを開けようとしたらスッと開いたので、ありがとうございますと頭を下げながら通り過ぎようとしたらーーー
ぐっと腕を引っ張られまた非常階段の踊り場へと引き戻された。
「ひゃっ」
ビックリして思わず声が出てしまう。
ゆっくりと顔を上げてみるとーーー
「ねぇ、告白しても良い?」
変わらない、ううん、何だか印象が少し逞しくなった陽日が私だけに見せるあの意地悪な笑顔で立っていた。
「はる、ひ……?」
なんでここにいるの?とか
どうしたの?とか
仕事は?とか……
色んな疑問が頭の中に浮かぶのに、どれ一つ声になって出てこない。
その間も目の前の陽日は笑顔のままだ。
「ねぇ、聞いてる?告白したいんだけど?」
「えっ、今?」
「今が良いです。」
あの時と同じ言葉を陽日が言う。
「あっ、じゃあ、どうぞ。」
びっくりやら恥ずかしいやらで言い方が素っ気なくなってしまう。
「なに、それ。まっ、良いけどね。」
少し呆れた顔をするものの目の前に立つ陽日は私の目を見ると
「好きです。俺は戸田原沙紀さんの事がめちゃくちゃ好きで仕方ありません。俺と付き合ってください。俺を暫定じゃなくて確定彼氏にしてください。」
とはにかみながら言った。