暫定彼氏〜本気にさせないで〜
夏休みのピークは終わったものの、やはり週末の遊園地は今も昔も混んでいて……。


人混みとか結構、キツイ。


「沙紀さん、次、あれどう?」


彼が指差す方に目を向けると、もう上に行くのか前に出るのか全く動きが想像も付かないような乗り物が見えた。


うん、人混みだけじゃなくて、遊園地そのものがキツイんだよね。


「いや、私、止めとく。下で待ってるから乗ってきなよ。」


「ええー、一人でとかつまんないじゃん。じゃ、止めとく。」


「でも、乗りたいんでしょ?ほら、今、あまり人並んでないし。」


「いいよ。だって二人で来てるのに一緒にいなきゃ意味ないじゃん。」


と、捨てられた子犬もしくは子猫の様な顔で露骨に落ち込む陽日。


「わかった、分かったから。一緒に乗ろう!ほら、行くよ。」

















ゲッ。


な、何これ。


戸田原沙紀、撃沈………。






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