暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「本当にありがとうございました。ちょっと目を離した隙に…。お二人には何とお礼を言えばいいのか。」


ハルキくんのお父さん、お母さんは何度も頭を下げてお礼を言ってくれた。


我が子が急にいなくなって、きっとご両親も不安だっただろうな。


帰り際、ハルキくんが私に手招きするから、話しやすいようにしゃがんであげると、


「このお兄ちゃんにフラレたら僕が彼女にしてあげるよーーーーお、おねえちゃんを。」


ムスッとしながらも可愛い事を言ってくる。


「こら、はるくん。余計なこと言わないの。すいません。」


お母さんがハルキくんを叱る。


「大丈夫。俺の大切な彼女を振るなんて絶対しないよ。ハルキには渡さないから、諦めて。」


ちょ、ちょっと子供相手にムキにならないでよ。


「大きくなったらニンジャマンになってお兄ちゃんなんかやっつけてやる、べぇーーっだ。」


そう言うと一人先にダーッと走っていってしまった。


「はるくん、また迷子になるわよ。それじゃ、失礼します。」


そうして親子は賑やかに去って行った。




< 43 / 229 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop