暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「私、ボーっとしてた?」


「ああ、すげぇボーっとしてた。魂が一瞬抜けて行きそうになってた。」


「マジで?」


「うん、マジで。だから俺が魂抜けないよう抑えてやったんだ、これでな。」


と、手に持つ丸めた資料を私に見せる。


ああ、なるほど。


それで頭をパッカーンとね。


「って、大事な資料をそんな事に使わないの!」


「なんだよ、人が助けてやったというのに。それよりお前、マジで大丈夫なん?」


「何がよ。」


「だって顔が赤かったから。熱でもあるんじゃねえの?」


「ね、熱?ないない、ないよ。めちゃ、調子いいもん。」


と、腕を振り回し元気さをアピールする。


「まっ、それなら良いけど。ところでさ、今晩暇?」


「うん、暇だけど、何?」


「やっぱり暇なのか。」


「やっぱりって失礼ね。たまたま今夜は暇なんです!」


「はいはい、たまたまね。まぁそれはいいんだけど、今晩ちょっと俺に付き合え。」


「ええ〜、なにそれ。超上からじゃん。て言うか、何なのよ。」


なんかムカつく。


「んまぁ、ここじゃ何だから詳しい事は夜に話すわ。ほら、今、仕事中だし後で店とかメールしとく。ほんじゃ。」


仕事中だしってその仕事中に人の頭叩きつけてんでしょ!


一体、何なのよ。


まっ、いっか。


後でメールするって言ってたし。


さっ、今は仕事、仕事!




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