暫定彼氏〜本気にさせないで〜
それに……


正直言うと、それだけじゃないんだ…。


近頃の私はおかいしい。


上手く言えないんだけど、明らかにあの日を境に同じフロアにいる藤枝さんよりも上の階に意識が向かっている…。


そう、観覧者の中であの大きな体を小さく丸めて私にその身を預けてきたーーー











陽日の事が気になって仕方ない。


なんて事、志賀には絶対言えない話だけど。









「そっか、なら大丈夫だな。」


志賀が言う。


「うん、ごめん。心配かけて。」


「いや、俺の取り越し苦労だったみたいだな。実は藤枝さん、離婚したらしいんだ。」


えっ……嘘……。


「なんて顔してんの?やっぱ未練たらたらとか?」


「まさか、そ、そんな事ない。それは本当よ。さっき言った事は事実だもん。」


だけどーーー


なんで離婚したのか気になる。


だって私は知っていたから。


藤枝さんがどうしても婚約者と別れられない理由を。


なのに今更離婚って、どういう事?









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