暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「お疲れ様です。」


目が全然笑ってないように見えるのは私だけ?


「あっああ……えっと、お疲れ様。」


色々と突っ込みたい所はあるけれど先ずは極力笑顔で応える。


「おっ、加藤じゃん、お疲れ。って言うか何それ?」


と、未だ私の体を拘束する陽日を見てさすがの志賀も突っ込む。


って言うか、首、首苦しいんだけど……。


「何それって、スキンシップですけど。彼氏と彼女の。」


な、何言うのよって反論しようと思ったら手で口を塞がれた。


息、息苦しい……って。


「彼氏と彼女ってお前とこいつ?」


「はい、そうなんですよ。」


「えっ、お前らって……そういう事?」


私と陽日を交互に見ながら志賀が目をパチクリさせている。


なんとか否定しようと思うのに私の口は相変わらず陽日の手で覆われている。


「そういう事ですよね?」


と私の顔を覗き込みながら陽日が漸く手を離したので先ずは新鮮な空気を吸い込む。


「ぷはっ、殺す気かっ!」


「大丈夫ですか?」


「はぁ?大丈夫な訳無いじゃないのっ!あんたが口塞いでたから危うく窒息しそうだったじゃないのよ。おまけに首だって締められて見動き取れないしっ!」


「だから、離したじゃないですか?て言うよりも沙紀さん、志賀さんの前だからって照れなくていいじゃないですか。この前だって、もっと密着してたし同じベッーーー」



「シャラーーーーーーップ!」


一瞬、店内が静まり返る。


すぐ様笑顔でなんでもないんですアピールするものの無理がある。


「なんか、よく状況が見えないんだけど席変えてもらうか?お前、一人?」


志賀が陽日に聞く。


「はい、俺さっきまで残業で……腹減ったから何か食って帰ろうかなってここに寄ったんですよ。ここ、お酒以外に定食メニューもあるし。」


「そっか、じゃあ一緒に食ってけよ。すいませーん、テーブル席に移りたいんですけど。」


私を置いてけぼりにしてちゃっちゃと場所移動を始める二人。












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