暫定彼氏〜本気にさせないで〜
陽日は私が思ってたよりもかなり早くにやって来た。


何だったら会社のすぐ近くで藤枝さんに会ってるんじゃないかというくらい。


「早かったね。」


と、深い意味もなく私が言うと


「早く来てマズかった?」


と何かを察しているのか陽日が聞いてくる。


「ううん、そんな事ないよ。」


「それ、終わってんの?」


と、デスクに無造作に置かれた資料を指差す。


「ううん、あと少しなんだけど残りは明日、早めに出社してやろうかなって。」


「手伝ってやるよ。」


「えっ、いいよ。そんな違う部署の人にやって貰う訳にはいかないって。」


「なに、言ってんの。同じ会社じゃん。」


そう言うと私の隣のデスクに座り手伝う気満々だ。


仕方ない。


ここは素直に手を借りるか。


私は残りの仕事を少し陽日にも手伝って貰うことにした。


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