暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「ああ〜、めちゃくちゃ美味かった。」


「本当に?」


少々、作りすぎたかと思ったけど陽日は綺麗に全部残さず食べてくれた。


食べた後の片付けは陽日が一人でやるって言ったけど任せるのも何だし、結局二人でやると直ぐに終わった。


片付けも終わり部屋で並んで座るもどうしたものか?


だってね。


ふと、気づいた事があるんだけど…………


ご飯食べ終わった後、これからどうするんだろ?


これと言って予定も立ててないし


部屋に男女二人きり……


「え、えっと……珈琲でも入れようかな。」


何となくその場にいてはいけない気がしてそう言うと


「沙紀さん、珈琲良いからちょっと座りなよ。ずっと動いてて疲れたでしょ?」


立ち上がりかけた私の肩を引っ張りまたその場に座らせる。


「いや、そんなに疲れてはないよ?うん。大丈夫。」


なんだろ、これ、ちょっとヤバくない?


「ふうん。疲れてないんだ…。じゃぁ、今から俺と食後の運動する?」


と、じわりじわりと私との距離を詰めてくる。


「食後の運動……って?」


「そんなぁ、惚けなくても。男女二人部屋に居てする事と言えばさ……」


顔がどんどん近づいてくる。


「ちょ、ちょっとぉーーー」













「はい、これ。俺、結構、強いよ。」


不意に目の前に出されたのはトランプだった。


「えっと、トランプ?」


「うん、そうだけど?もしかして沙紀さん別の事想像してた?」


涼し気な顔でトランプを箱から取り出す陽日。


「してないっ!早くカード切りなさいよっ。私だってトランプ得意なんだから。」


絶対、面白がってるよね、腹立つぅ〜。









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