暫定彼氏〜本気にさせないで〜

「じゃあ、遠慮なく……」


そう言うと陽日は私の頬に手を添え顔を傾け近付いてくる。


「ちょーっと、待って。」


距離を取ろうとぐいっと陽日を押し戻すもその手も取られてしまった。


えっ……本当に？


こんなトランプとかでキスしちゃうの？


こういうのってちゃんと思いが通じ合って……


「ねぇ、ちょ、ちょっと待ってよ。」


「何？」


かなり顔が近い。


「あのさ、ホッペにチューじゃダメ？」


「いい大人がなに、くだらない事言ってんですか。往生際悪いですよ。」


「いや、だってさ。こういう気持ちの無いキスとかさぁ。不純じゃない？」


「不純？だけど俺には気持ちちゃんとありますよ。」


「いや、あんただけにあってもさぁ……ねっ？」


「うーん。じゃあさ、このキスは俺の気持ちとして受け止めてよ……」


「えっ、気持ち？受け止めーーーんっ」


言葉ごと唇を塞がれてしまった。