嫌いになりたい
「どういう…意味?」


「………女らしくても、男前でも、宇佐美は宇佐美だろ。俺は、そのままのお前がいい」


「へ?」


意味が分からなくて聞き返したのに、永野くんはハッとした表情になって自分の口を手で覆い隠した


「やっ、今のは気にしないで」


…って言われても、めちゃくちゃ気になるんですけど………


斜め下からジッと見上げても、視線を逸らしたままこちらを見ようともしない


「お待たせ致しましたー。なんこつの唐揚げととんぺい焼き、エイヒレの炙り焼き、串の盛り合わせタレになりまーす」


あたし達の間にある空気を裂くように、やたら明るい声で頼んだ品をテーブルの真ん中に置いていく女の子


この子はきっと高校生だろうな


なんて顔を確認しながら


『なります』って、これからあなたはそれらに変身するんですか?


と、彼女の言葉遣いに心の中で冷静なツッコミを入れる


「食おうぜ」


女の子が立ち去ると同時に、何事もなかったかのように串焼きのお皿に手を伸ばし、お肉やネギを串から外し始めた
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