嫌いになりたい
忘れられない過去
※※※



ベッドのスプリングの音とサクの荒い息遣い、あたしの嬌声が部屋に響く


「ラビ…」


眉間に皺を寄せて、何度もあたしの名前を呼ぶサク


「サ………ク…」


高みに導かれ、何度目かの絶頂に体を打ち震わせると、同時に彼があたしの上で果てた

倦怠感で自由が利かない体を横たえたまま、暗闇に慣れた目で視線を窓に移す

三度の情交のせいか、いつもなら綺麗な夜景を映すそれも熱で曇っていた


「寒くない?」


10月だというのにシーツは汗で濡れ、事後の体を冷やしていく


「ちょっと………寒いかも」


「バスタオル、ある?」


「洗面所に置いてあるの」


動けないあたしは、指だけで場所を示した

それに頷き、ベッドから抜け出すサク

月明かりを浴びて、彼の綺麗な肉体がシルエットとなって映し出される


綺麗………


頭がフワフワして、瞼が落ちてきた

サクの足音が遠くに聞こえる
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