嫌いになりたい
※※※



「あ、あの………ずっと、好きでした。もし彼女とか居なかったら、付き合って…下さい」


真っ赤に染まった放課後の教室に響く、あたしの震え声

夕日を背に受けた彼の表情は、薄暗くてよく見えない


「え?」


戸惑った彼の声に、告白したことへの後悔の念が湧き上がる


「………もしかして、迷惑…だった?」


後先考えずに告白したけれど

よく考えたらあと半年、毎日教室で顔を合わせなきゃいけないんだ


これでダメだったら、気まず過ぎる………


さっきまでの勢いはどこへやら

返事を聞くのが怖くて俯いた


「迷惑じゃない」


思っていたより近くで声が聞こえ、ふと顔を上げる

すると、机二個分を空けて立っていた彼が、あたしのすぐ目の前に居た


「ホント?」


恐る恐る聞いたあたしに、黙って頷く彼


「宇佐美って男子から人気あるから、正直付き合えるなんて思ってなかった。すっげーラッキー」


嬉しそうに後頭部を掻く彼に少しだけ違和感を感じたけれど

その時のあたしは、好きだった人と付き合えることに舞い上がってしまっていたんだ
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