嫌いになりたい
初めてのデート
スマホのアラーム音に、寝ぼけた目を擦りながら伸びをする

寝た時間が遅かったからか瞼が重い

それでも、今日一日を乗り切れば夜には章吾に会える


よしっ、頑張ろう!


ベッドの上で大きく深呼吸をすると、布団を剥いで準備を始めた



※※※



「おはようございまーす」


事務室に着くと、机の下から富永さんが顔を覗かせる


「あれ?今日出勤?」


「じゃないと、こんなとこに居ませんよ」


眉を下げ、困ったように笑った


「宇佐美さん………昨日、お店出てから居なくなっちゃいましたね。向こうの人も1人居なくなってたし。もしかして、一緒に抜けちゃいました?」


足元に置いてある段ボールの中から書類を引っ張り出し

机の上に置きながら、意味ありげな表情であたしを見る
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