嫌いになりたい
※※※



「ねーねー、宇佐ちゃん」


昼休み

女子生徒が3人やって来た


「どーしたの?」


『宇佐ちゃん』


親しみを込めて、あたしのことをそう呼んでくれる子達が何人も居る

本当は生徒と馴れ合っちゃいけないのかもしれないけど、あたしは教師じゃないから『規律』よりも『和合』を目指していた


「あのねー、今日って永野先生の誕生日でしょー?」


「あら、どこでそんな情報仕入れたの?」


本人から聞いたんだろうけど、敢えて聞く

それがあたしのやり方


「永野先生が『俺9日誕生日だから、プレゼントくれー』って、体育の授業中叫んでた」


「そうなの?永野先生、厚かましい」


クスクス笑うと、生徒達が顔を見合わせた


「でね、本当はダメなんだけど…」


「何かしら?」


首を傾げると、肘で小突き合いをしながら『ほら』とか『カナコがいいなよー』とか『アヤノは?』など、囁き合っている
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