ナナ色Heart
ジーンズのポケットに両手を突っ込み、端正な顔を俯かせたまま、彼は何も言わなかった。
だから今度は、あたしから声をかけたの。
「昨日、凄く素敵だった」
彼は弾かれたように顔をあげた。
その顔が、まるで幼い子供のような表情だったから、あたしは少し安心して再び彼に言ったの。
「昨日の出場者の中で一番凄かったよ。あたし、めちゃくちゃ感動しちゃって、涙が出ちゃった」
すると彼はなんとも言えない顔であたしを見て、ちょっとだけ笑った。
「泣いてる顔をスクリーンで見たってだけで驚いたのに、それがあんただって分かって更に驚いたよ」
「あたしも、びっくりしたよ。まさか、あの時の……」
そこまで言った時、彼が苦しそうに顔を歪めた。
だから今度は、あたしから声をかけたの。
「昨日、凄く素敵だった」
彼は弾かれたように顔をあげた。
その顔が、まるで幼い子供のような表情だったから、あたしは少し安心して再び彼に言ったの。
「昨日の出場者の中で一番凄かったよ。あたし、めちゃくちゃ感動しちゃって、涙が出ちゃった」
すると彼はなんとも言えない顔であたしを見て、ちょっとだけ笑った。
「泣いてる顔をスクリーンで見たってだけで驚いたのに、それがあんただって分かって更に驚いたよ」
「あたしも、びっくりしたよ。まさか、あの時の……」
そこまで言った時、彼が苦しそうに顔を歪めた。