ナナ色Heart
その間隔がだんだん狭くなる頃、

「ナナ!」

山内君の声がした。

「ナナ、俺の話、聞いてくれないか」

怖くて、聞けないよ、聞けるわけがない。

抱き締め合ってたんだよ?

凄い美人と抱き合ってたんだよ、自分の彼氏が。

しかも、その美人を、下の名前で呼び捨てにしたんだよ、有紗って。

あたしよりも付き合いの長い相手だってすぐに分かった。

あたしは、玄関ドアの向こう側にいる山内君に声をかけた。

「今日は、無理だよ。もう帰って」

「ナナ」
< 142 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop