ナナ色Heart
次の日、あたしは朝早くに家を出た。

山内君に会うのが怖かったから。

そしたら丁度、隼人も家から出てくるところだったの。

「ナナ」

「おはよ、隼人」

あたしは顔を見られたくなくて、うつむき加減で声をかけた。

「ナナ?どうした?」

隼人はあたしの方へと歩み寄ってきて、身を屈めてあたしの顔を覗き込んだ。

「……何かあったのか?」

「へへ。ただの寝不足だよ」

あたしは軽い感じでそう言ったけど、隼人の目はごまかせなかったんだよね。

隼人は道路にバッグを置くと、両手であたしの顔を包むようにして持ち上げた。
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