ナナ色Heart
あたしはその男にホウキを振り上げた。

「うわあっ!」

もう、必死だったの、あたし。

何度も、男にホウキをバシバシと打ち下ろしていると、後ろから抱きつかれた。

「気が強い女だなっ」

身をよじると僅かに金色の髪が見えた。

「きゃああっ!」

「離せっつーの!」

山内君の声がしたかと思うと、金髪男は、脇腹を押さえ、その場に倒れ込んだ。

その直後、パトカーのサイレンが聞こえた。

「いくぞっ!!」

「えっ!?」

山内君は、あたしの手首を掴んで早口で言った。
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