ナナ色Heart
だってあたしは、そんなふうに誰かと恋愛したことない。

付き合った相手も、苦しんだ相手もいなくて……。

「別れを切り出した時、アイツはあっさりと頷いて笑ったんだ。
分かったわ、って。
それからすぐにイギリスへ留学したから、もしかしたら、アイツの方がもう終わりにしたかったのかも知れない」

あたしは、ズキズキする胸の前に組んだ両手を握り締めた。

山内君は真剣な眼差しであたしを見て、こちらに一歩近づいた。

「正直、アイツが連絡してきた時は驚いた。会いたいといわれて迷ったけど、心配だったのも、確か。
ナナには後でちゃんと説明しようと思ってたんだ。けど、まさかアイツがあんな事を仕組むようなヤツになってたなんて、想像してなかった」

「もう、いいよ。わかった」
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