ナナ色Heart
山内君は眼を見張ったけど、あたしは正直に言った。

「事情は分かったけど、部屋に入れるとか嫌だし。ましてや、抱き合ってたのもムカつく。山内君てさ、そんなに背が高くてがっしりしてるのに、抱き締められて振りほどけない訳?」

あたしがそう言ってジッと見上げると、彼は慌てて言った。

「振りほどこうとした時に、ナナが来たんだ。本当だ」

焦った山内君は、ちょっと可愛かったから、あたしは少しだけ意地悪がしたくなったの。

「ふーん……」

そう言って、あからさまにツン!と横を向いた。

ふふん、これくらい、いいよね。

「ナナ、本当だって!」

「あっそ」
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