ナナ色Heart
「ナナ、ホントなんだって!」

「フッ」

山内君の焦りようが可愛すぎて、思わず笑い声が漏れちゃった。

それに気付いてビックリしたような山内君と、思わず視線が絡まる。

「あの、ごめ」

そこまでしか、言えなかった。

「好きだ」

囁くようにそう言った後、彼があたしにキスしたから。

山内君のかっこいい顔が近づいて、心臓が跳ね上がる。

恥ずかしさと、なんとも言えない嬉しい気持ち。

一瞬だけのキスは優しかった。

「帰ろっか」

「うん」

……仲直り、だよね。

もう大丈夫だよね?

もう、有紗さんの事で、悩まなくていいんだよね?

聞けない質問を、あたしは心の中で繰り返した。
< 155 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop