ナナ色Heart
山内君から視線をそらせられないでいると、彼はあたしをチラッと見てからスッと顔を背けたの。

なに、今の。

また、有紗さんなの?

どうして?って、聞けたらいいけど、あたしは怖くてきけなかった。

彼から、言って欲しい。

一緒に帰れない訳を。

でも山内君は、固い表情で唇を引き結んだまま、なにも言おうとしない。

「……分かった」

「じゃあな」

「うん」

スッと風が動いて、山内君はあたしの前から遠ざかり、教室から出ていった。

山内君、どうしてあんな厳しい顔をしたの?
< 160 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop