ナナ色Heart
「話しかけると、瞼が震えるように動く時があるんだ。俺の声、分かってるのかも知れない」

あたしは切なくて、苦しくて、望みを込めながら言った。

「きっと、真朝さんは聞こえてるんだよ、玲哉君の声が」

あたしがそう言うと、玲哉君は悲しげに頷いた。

「だと、いいな……いつか、目覚めてくれたら」

ああ、真朝さんが目覚めたら、玲哉君はどんなに嬉しがるだろう。

早くそんな日が来ればいい。

あたしはそう思いながら、玲哉君と別れ、先に病室を出た。



「男に取り入るの、お上手なのね」
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