ナナ色Heart
後ろ手に、馴れた手つきでガシャンと鍵をすると、彼女はあたしを見てからゆっくりと唇を引きあげたの。

「失敗したとは聞いてたけど、まさか仲良しになってるなんてね」

……え……?

早鐘のような心臓を感じながら、あたしは必死に考えを巡らせた。

ま、さか……!

手が震えるのを必死でこらえると、あたしは恐る恐る口を開いた。

「もしかして、あなたが玲哉君に」

「フフフ」

彼女は眼を細めて笑い、テーブルの上に腰かけて、細い足を組んだ。

「あなたが、悪いのよ。私の蓮を奪うから」

あたしは息を飲んだ。
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