ナナ色Heart
「山内君は、あなたとはもう別れたって……」

「山内君?まだそんな呼び方なの?あなた、一体、彼の何を知ってるの?」

「それは」

あたしは言葉に詰まった。

確かに……まだ、何も知らない。

彼女の勝ち誇った声が響く。

「あたしは何でも知ってるわ、蓮の事。
……例えばそうね…彼、飲み物を注ぐ時、必ず左手で注ぐの。利き手は右だけどね。それよりもっと違う事が知りたい?
フフフ…あばら骨の下にある小さなアザとか。キスが深くなると絶対に指に私の髪を絡めてくる仕草とか……寝るときは絶対に彼が」

「やめてよっ」

「あら、刺激が強すぎたかしら」

「あなたは、最低よっ!玲哉君の弱味につけこんで、襲わすなんて!」

有紗さんは、あたしを強く見据えた。

「最低で結構よ。あの日、蓮に別れを告げられたけど、私は同意してない。ただ、暫くの間、距離をとろうとしただけよ。そしたら彼は、改めて私の愛の大きさを再確認して、私がいなきゃダメだって後悔するはずだった!」
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