ナナ色Heart
あたしの腰に下げた両腕をそのままに、彼は少しだけ上半身を離した。

通った鼻筋と綺麗な口元に、ドキドキする。

その上、瞳は切なげに揺れていていて、あたしは夢中で彼を見つめたの。

だって、好きだから。

「山内君……」

「なんで昨日、連絡くれなかったわけ?」

ドキンと鼓動が跳ねる。

彼があたしの瞳を覗き込んで、精悍な頬を傾けた。

「俺待ってたんだけど」

あたしだって待ってたって、本当は言いたかった。

でもその時、頭の中に有紗さんの言葉が浮かんだの。

『 あなたが蓮と別れないなら、玲哉の恋人を放り出すわよ』
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