ナナ色Heart
『玲哉と真朝だって、守られる。さあ、約束なさい!蓮と別れるって』

彼女の、狂気を感じる血走った眼を思い出して、あたしは山内君から眼をそらした。

彼女はきっと本気だ。

あたしが山内君と別れない限り、確実に真朝さんを病院から追い出し、玲哉君を苦しめるだろう。

そんなことになったら、あたし……!

胸が痛くて苦しくて、あたしは眉を寄せた。

「聞いてんのかよ、俺の話」

山内君はちょっと拗ねたような顔をして、腰に回していた腕を解いた。

「ダメだ、ボーッとしてる、罰」

彼はそう言うと、大きな手のひらであたしの顔を包み、顔を傾けてキスした。

触れるようなキスをして顔を離すと、フウッと笑い、視線を下げて再び唇を押し当てる。
< 178 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop