ナナ色Heart
キスが深くなるにつれ、彼が片手をあたしの後頭部に回し、もう片方の腕で背中を支えた。

山内君……。

彼のキスに幸せを噛み締めていた時、ゆっくりと彼の指があたしの髪を絡めて、優しく遊び出した。

『キスが深くなると絶対に指に私の髪を絡めてくる仕草とか』

有紗さんの言葉が頭をかすめて、あたしは体がビクッとして息を飲んだ。

胸が焼け付くように、痛い。

「やだ……」

「ナナ?」

怪訝そうな顔で山内君はあたしを見つめる。

あたしは、掠れた声で呟いた。

「同じこと、しないで」
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