ナナ色Heart
「あ、あの」

気まずさに耐えきれず、あたしは、思いきって声をかけた。

「こっち」

「え」

エレベーターが開くと同時に手を掴まれて、あたしは山内君の後ろを歩いた。

「入って」

玄関のドアを開けると、彼はあたしの手を引き、自宅の中にいれた。

それから靴を脱ぐとスタスタと奥に連れていかれて、あたしは焦った。

だって、家の人がいたら、緊張するし……。

「あの、さっきはありがとう」

ようやく、あたしはソファに腰を下ろした山内君に、助けてもらったお礼を言った。

すると山内君は、突っ立っているあたしに声をかけた。
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