ナナ色Heart
有紗さんとあたしに同じことをする彼を、咄嗟に許せないと思った。

あんなひどい人と、あたしを一緒にする山内君に、腹が立ったの。

「ナナ」

「あたしを有紗さんの代わりにしないでよ。有紗さんにする仕草を、あたしにしないでよっ」

みるみる山内君の表情が強張る。

「なんだよ、それ……お前は俺の事、信じてねーのかよ」

「信じられないような事、しなきゃいいじゃん」

あたしは彼から視線をそらして言った。

その時、スマホが短く鳴ったの。

あたしのスマホだ。

テーブルに置かれたそれを見て、山内君が冷たく言った。

「見れば?」
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