ナナ色Heart
その日の午後、あたしは姫山総合病院へと向かった。
2号館の2階の、あの部屋を目指す。
あたしがそっとドアを開けると、良い香りがした。
有紗さんの香りだ。
「パパのこの病院はね、脳外科医が凄いのよ。
……真朝だって、ここにいれば新薬で目覚められるかもしれない。目覚めてからも手厚い医療を約束してあげるわよ」
あたしは、コクンと頷いた。
有紗さんの綺麗な顔が歓喜に満ちていく。
「…さあ、聞かせていただくわ」
あたしは、悲しみと緊張でカラカラになった喉を必死で押し開いて声を出した。
「山内君とは、別れる」
あたしがそう言うと、有紗さんは、美しい唇を更に引き上げて言った。
2号館の2階の、あの部屋を目指す。
あたしがそっとドアを開けると、良い香りがした。
有紗さんの香りだ。
「パパのこの病院はね、脳外科医が凄いのよ。
……真朝だって、ここにいれば新薬で目覚められるかもしれない。目覚めてからも手厚い医療を約束してあげるわよ」
あたしは、コクンと頷いた。
有紗さんの綺麗な顔が歓喜に満ちていく。
「…さあ、聞かせていただくわ」
あたしは、悲しみと緊張でカラカラになった喉を必死で押し開いて声を出した。
「山内君とは、別れる」
あたしがそう言うと、有紗さんは、美しい唇を更に引き上げて言った。