ナナ色Heart
「賢明な判断だわ。蓮だって、あなたと別れて最初は辛いでしょうけど、その内忘れるわよ。私がずっとそばにいるもの」

有紗さんはドアに近づくと、あたしを振り返った。

「交渉は成立よ。裏切ったら許さないから。
蓮の携帯番号、削除しなさいよね。LINEもメアドも。分かったわね」

彼女は射抜くようにあたしを見てから、踵を返して部屋から出ていった。

ああ、とうとう、別れてしまった。

あの楽しかった日々が、終わる。

もう、山内君と一緒にいられなくなるんだ。

手を握ることも、抱き締め合うことも。

まるで、夢のようだったよ。

あたしは病院の外に出ると、思いきり深呼吸した。

これが一番の方法なんだって、自分に言い聞かせながら。
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