ナナ色Heart
その時、タン!と乾いた音がしたの。

思わず目の前のステージに眼をやる。

……!

上の歩道から柵を越えて、誰かがステージに勢いよく飛び降りたみたいだった。

飛び降りた男の子は、キャップのツバに左手で触れ、グッと俯いて顔を隠し、ポーズを決めた。

あ……!

あたしは、眼を見張った。

彼は一瞬、顔を上げてあたしに視線を投げると、ニヤッと唇だけで笑った。

玲哉君!!

次の瞬間、華麗なステップを踏み、彼は体を弾ませた。

歩道を行き交う人々は足を止めてステージを見下ろし、次第に辺りから歓声が出始めた。
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