ナナ色Heart
瞬く間にステージの前に人だかりが出来る。

ああ、凄い。

本当に玲哉君は凄い。

彼はステップを踏みながら時折あたしに眼を止めてはニコッと笑った。

あたしも、彼を見て笑った。

躍り終えると、大きな拍手がステージを包んで、誰かが叫んだ。

「凄い!Bボーイ!!アンコール!!」

玲哉君は、声のした方を向いてかっこよくポーズを決めると、小さく頭を下げたけど、ステージから飛び降りてあたしの腕を掴むと、

「二宮、行くぞ」

「え?あ、うん!」

あたし達は逃げるようにその場を後にした。

しばらく繁華街を歩くと、彼はあたしを見下ろして笑った。
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