ナナ色Heart
第5章

悲しい雨

「あたし、思ったんだ。山内君に対するあたしの想いより、有紗さんの想いのが大きいって。だから、彼女といた方が山内君も幸せだと思うんだ」

真央には、玲哉君の恋人である真朝さんの事は話したけど、有紗さんに突き付けられた条件は、黙っていた。

あたしがその条件をのんで、山内君と別れたことも。

真央に、心配かけたくなかったから。

あたしは真央にそう言うと、教室の天井を仰いだ。

涙が零れそうになったから、真央の顔を見れなかったの。

「彼はなんて?」

「あたしが誰といようが、もういいって」

真央はハアーッとため息をついて頭を振った。

「……俺様キャラって、大体気が短いのよね。それが男子高校生となると、アホがプラスされちゃって、見てられないわ」
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