ナナ色Heart
「タオル取ってくるね」

「ナナ!」

後ろ手に腕を掴まれて、あたしは山内君に、そのまま抱き締められた。

きゃあ!

「ナナ」

驚いて声をあげようとしたところを、彼の唇で塞がれる。

優しいけど少し強引なキスは、山内君らしかった。

山内君の前髪から雨の滴があたしに落ちて、あたしは彼の髪にそっと触れた。

その手を山内君が、絡めとった。

大きな手が、凄く熱い。

暫くキスしたあと、山内君がそっと唇を離してあたしを斜めから見下ろした。

鼻と鼻が触れあったままで、切なげな眼差
しのままで、彼は囁くように言った。
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