ナナ色Heart
「ナナを抱きたい。今夜、俺と過ごそう。そしたら、俺達……」

山内君の瞳が甘やかに光る。

「ナナを誰にも渡したくない。俺だけしか、ダメだ」

そう言うと再びあたしに唇を寄せた。

あたしは、胸が張り裂けそうだった。

好き。

好きだよ、山内君が。

けど、もうそれは言えない言葉なんだ。

「……ナナ、ナナもだよな?俺が好きだろ?」

不安に揺れる茶色の瞳。

あたしはなにも言えなかった。

「答えろよ、ナナ」

山内君があたしの瞳を覗き込んだ。

「俺を、好きだろ?」
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